最近読んだ小説で納得したこと

最近、読んだ小説「ハゲタカII」。真山仁という方が書いている本です。

これは2006年頃が時代設定となっている、企業買収に関連するファンドの闘いを描いたものです。

 

元々は超零細と言えども企業経営をするにあたり、何か学べるかな、と思ってハゲタカを読み、なかなか面白くて続編を読んだという形です。

 

 

外資系ファンドの日本部門トップという設定故、アメリカとのやり取りを含めたものになりますが、実はそこで述べられているものの中に

 

「あー、これは確かに現実によくある企業の課題を示している。」

 

と強く感じた部分があったため、自分の記録のために本ブログに書いてみたいな、と思いました。

 

 

1. カリスマ経営を基本とした企業崩壊の予兆

 

これは驚きました。本当に管理人もまったく同じことを常々感じ、クライアント企業の方々ともお話していた内容だったからです。

 

冒頭ご紹介した小説から要点を抜粋します。

 

・カリスマ的経営者の共通点:魅力的である上、熱血漢で実行力があり、仕事の虫である。このため、トップの突破力で社員を統率する。

 

・企業崩壊の予兆:トップの存在があまりにも大きい故、社員が思考を止めてしまい、あとはトップについていけばいいという考え方が蔓延。

 

・企業崩壊の具体化:カリスマ経営者の神格化が進行し、その経営者の周りにはイエスマンしかいなくなることで、経営者には良い情報しか入ってこない。

 

 

いやー、本当にその通り。企業の規模の大小関わらず、これはお決まりパターンと言ってもいいかもしれません。実際、このような流れでカリスマ経営者亡き後、企業が迷走して買収される、大混乱で社員の3割近くが一斉退社するといったことも現実に見聞きしたことがあります。

 

 

 

2. 企業文化の違い

 

これも描写がぴったりですね。

 

・活気のある企業:戦闘集団。飛び込み営業は当たり前で、営業提案は却下されても引き下がらず、考え方も柔軟。

 

・活気が落ち目の企業:歴史と伝統に寄りかかり、ビジネスも工業事業や大手企業の大型案件が主。おっとりした人がおおく、頑固で柔軟性に欠ける。

 

 

そうそうそう、と手を叩きたくなる描写。

 

管理人はかなり大きな企業の担当者とも仕事の話をすることがありますが、企業規模と柔軟性は完全に反比例の傾向にあります。加えてスキルの範囲が本当に狭い。

 

逆に比例関係にあるのは給与とプライドですかね(笑)。規模の大きな企業では、その人がいなくなってもびくともしないはずなのですが、まるで自分が大きくしたと勘違いをしているパターンも見受けられます。尚、日本人は、という主語をつけたがる方もいますが、海外も同じような感じですね。特に欧州はその傾向が強いです。

 

とはいえ、管理人も元々は大きな企業にいたため、外から見るとそのように映っていたのかと想像します。本人は気が付いておらず、裸の王様なのです。今思うと恥ずかしい限りです....。

組織を離れて独立する際、自分では足りない部分を学ばなくてはいけないという覚悟を決めていたとはいえ、その問題は自分で歩み始めてから種々直面することになりました。

 

こういう時に物を言ったのは、協力者を探すという行動力と、その方々に協力してもらうために謙虚になることだと感じます。ここは性格に加え、管理人の場合はある程度年齢が若かったというのも良かったのかもしれません。

 

 

3. 会社は誰のものか

 

これはなかなか興味深かったです。

色々な描写がされていますが、要は、

 

「会社は社長や取締役のものではない」

 

ということのようです。かといって、社長は社員のために粉骨砕身働き、責任を取るというのが正義でもないと述べられています。社長や取締役が独善的に会社の方針を決めるということをやろうとしている時点で、会社が自分のものという暗黙の理解をしてしまっているためだと書かれています。

 

しかし社員のものでもない。

 

株主が主なステークホルダーだが、それだけでいいというわけでもないという描写になっています。ここがいいですね。まだ、管理人の中では結論はでていませんが、とても興味深い部分です。

 

 

 

4. 経営陣も社員も幸せになる

 

管理人が個人的に印象に残っているのは、

 

「取締役の経営陣も、社員も皆が幸せになることを目指すべき」

 

という考え方です。つまり、社員はもちろんですが、経営陣もメリットがあるような企業運営にしないと長続きしない、ということなのかと理解しています。

 

これは、大変共感できました。そうれはそうだな、と。

 

 

 

 

ということで、引き続き続編を読んでみたいと思います。