久々に興味深い記事を発見!

今年もあけてあっという間に1週間がたちました。

 

当年は帰省をしなかったこともあり、かなりのんびりな年末年始を過ごしました。

 

 

さて、少し前になりますが久々に「あ~、なるほど」と感銘を受けた記事を見つけました。

 

管理人の愛読する埼玉新聞なので、全国区ではありませんが....。

 

 

埼玉大学の加藤拓巳先生の記事です。

 

写真からうかがう限りまだ若い方かと思いますが、記事の内容はどこかの写しではなく、良い切れ味です。管理人のような最前線でやっている人間の気持ちをよく反映できており、ご自身がそのような経験を持っていらっしゃるか、そのような方と多く話した経験を持っている方だと想像します。

 

記事の要点を書いてみたいと思います。

 

 

1. マーケティングとは何か

 

「一言でいえば販売を不要にする価値づくり。最も重要なのは消費者を理解し、消費者が価値と考えるものを作ること。」

 

いやー、鋭い。管理人とほぼ同じ考え方です。

実際のビジネスでも本当に上記のことは感じるところです。

 

売り込まなければいけないようなものはそもそも管理人的にはあまり意味がないと思っています。結局、それいくら?と価格競争になるからです。

 

 

2. 価値とは何か

 

「販売価格からコストを引いた差額。機能や技術が新しければ価値が高いわけではなく、問題解決というものが価値の源泉にある。」

 

そうそう。そうなのです。

行政に打診されて行っている「技術企画」というセミナーにおいても、課題で最重要視するのは「どのような課題解決か」というお話ですね。

 

と、まぁ、ここは常識と言えば常識なのですが.....。

 

 

3. ブランドを作るのに必要な科学的根拠

 

「マーケティング、コンセプト、ブランドといった単語は明確な共通認識がないまま社内で使われることが多い。そのため感覚的に意思決定してしまう。これらの課題を解決するには共通認識を持たせる文化が大切だが、それには時間がかかる。それを解決するのが科学的検証である。」

 

あー、管理人が無意識に行っていたのはここなのかー、と再認識しました。

 

管理人は「経験的には」という言葉が嫌いです。その多くが定性的で、感覚論だからです。そのため、技術的な検証によって、定量的かつ客観的なデータを準備する、ということにこだわっています。

 

これは、サラリーマン時代の失敗という実体験に基づいたものなので、反発されることもありますが、基本的にぶれません。反発する人の多くには実践経験が不足しており、本当の意味での失敗を知らない温室育ちの方が多いからです。

 

技術を認識合わせの根拠に使うという考えは、なるほど!と思いました。

 

 

 

4. ビックデータの誤解

 

「成功事例の模倣に並んでビックデータ分析等を行い。大量のデータを根拠にしてて安心する。データで評価することは科学的に評価できていることと同等ではない。解決したい問題が明確であること、問題の原因と対策、仮説を考えていない、ということがその問題の背景にある。」

 

そうそう、と思わず相槌を打ちたくなる内容ですね。

ビックデータや後述するAIも含め、話題となっているのは、どれもツールでしかないのです。

技術的な本質は常に不変である、という管理人の格言にも近い内容といえます。トレンドにアンテナを張るのは大切ですが、軸なく流されるのは大変危険ですね。

 

 

5. AI活用の注意点

 

「AIで注意すべきことは以下の4点。

 

①データ:データは儲かるという認識は捨てる。消費者の問題を解決できる価値を踏まえた商品やサービスに価値がある。データはあくまでこれらを通じて蓄積したものに価値があるのであって、価値が妥当か否かという仮説に基づいた検証を行うという背景にこそデータに価値が生まれる。

 

②パーソナライズ:キャンペーンやDMの反応率といったわかりやすい指標を上げるのが目的となり、価値づくりの思考が停止していることが問題。ブランドを高めるためには選択肢を減らして満足するのは企業だけ。

 

③バイアス:学習するとき、投入するデータがゴミだとゴミしかでてこない。インプットデータに偏りがあるとアウトプットも偏りが出るのは当然。

 

④クリエーティブ:AIに創造的な役割を担わせる取り組みもあるが、AIは過去のデータに依存するのでやはりいいインプットが価値創造の前提。結局新価値をそうぞうしたいのであれば、自らが必死に考えるしかなく、考えることを放棄するところに新しい価値は生まれない。」

 

そうそう、そう思います。

目先のデータを重要視する、入力データにバイアスをかける、未知のものに挑戦するために考える、といったことを辞めている人が多いことに驚くことがあります。

 

結局、学問に王道は無し。地道に自分の頭で考え、それに加えて実体験という実践経験を蓄積し、自らが正しいという哲学を持つしかないような気がします。

 

 

4. 価値は不変

「ウィズコロナ、アルターコロナで本質的に価値づくりは変わらないと考える。変わるのは手段であり価値は昔から同じ。一つ問題を解決すれば、新しい問題が生まれる。価値づくりは、価値の考え方を理解することが不可欠で、顧客の潜在的な困りごとを見つけ、それを高い近く品質、デザインとUXで一貫して具現化することが価値の考え方。これを実行するには文化が必要で、文化を作るには価値づくりをしている人に適切な環境、権限、報酬を支払う人事制度が必要。価値判断はあくまで科学的な検証結果に基づき判断し、個人は理論に基づき、ひたすら手を動かし、顧客の近くによる検証を繰り返し、それを情報発信するのが仕事。

 

他社が使っているから、他者がやっているからではなく、自社のコンセプトに合致するか否かでツール選択の判断をする。」

 

 

そうですね。物事の本質を突き詰めていくと、不変の領域に到達します。

ここにいかに早く到達できるかですね。

 

ここに到達できると爆発的な人気や売上にはつながりませんが、

 

 

「本質に気が付いた、本当の顧客」

 

 

につながることができるというのが管理人の自らの経験からわかってきたことです。

 

 

人事制度は日本では簡単に変わらないでしょう。

 

年功序列が色濃く残っており、社員を大切にするという文化が一般的には強いからです。

 

管理人個人的にはこれはこれで良いと思っています。

 

いやがおうにも徐々に社会が変わっていくからです。

 

管理人が考えているのは、

 

「会社以前に社員が変わるべきではないか」

 

ということ。

 

 

例えば本当に自分のやりたいことをジョブ型として仕事にするには、社内で特別な立場を手に入れるか、独立するしかありません。

 

どちらも前例がないためハードルが高いか、(雇われ人の方がよく心配する)収入面のリスクを考えざるを得ないからです。

(自ら事業を興す等の経験のある人が間違いなく最大のリスクとして言うのは健康です→体と頭が動けば、色々なことにトライできるから。)

 

 

しかし、このようなハードルを乗り越える、リスクをとるということを、社員が本気で考えなければ、仕事が変わるわけはありません。

 

 

会社や社会が変わるのを待つのではなく、自らがそのような生き方の前例を作る。

 

 

 

今の現役世代に求められるのはそのような挑戦する姿ではないでしょうか。

 

 

こういう姿を見せることで、より柔軟で体力もある今後の若い世代の方が社会全体を変えていってくれるのではないか。

 

管理人はそう考えて日々過ごしています。

 

 

 

今回の埼玉新聞の記事。

 

管理人個人としては久々に楽しく読めました。こういうことを述べ、欲を言えば、そのようなことを具現化する人が多く出てくれば、社会はもっともっと楽しくなりそうですね。