今新しい電子書籍の出版準備にとりかかっていますが、技術報告書の書き方、という内容になっています。
どうしてこんな内容の本を書こうと思ったのか。
私は、入社以来3年間くらいにわたり議事録や技術報告書を必死に書いていました。
それはなぜか?
書くのが苦手だったからです。
昔から、教科では国語が最も苦手でした。だから理系に進んだというのもあります。
でも、書く力は技術者に必須だと考え、自らの欠点に立ち向かおうと決意したのです。
報告書を添削されるごとに「お前、全然基礎がなってねぇな」、「言いたいことがわかんねぇよ」などの言葉を浴びせられながらがんばりました。
我慢しすぎたのでしょうか。夜眠れなくなり、会社にも行きたくなくなり、やる気もなくなり。その挙句に「根性がたんねぇんだよ」といわれ。
ただ、逃げなかったですね。私は。自分は絶対にできるようになると信じていたので。
気が付いたら、書くのが好きになっていました。得意かはわかりませんが(笑)。今では電子書籍作家になることができました。
ところが、ここまでくると周りの状況に愕然とします。
私は、出張報告書、技術報告書など、かなりの量の報告書を書いています。書く必要のあるものから、自主的に書いているものなど、年に50通は超えています。
電子書籍で「いろは」を説こうというくらいですから、かなり丁寧に書いています。
しかし、ちゃんと読んでくれる人がほとんどいないのです。
回覧してもささっと目を通して次の人に回しているのをよく見かけます。
やる気失いますよね。こっちは一生懸命書いているのに。目の前でそれをやるな、という話です。
もう少しちゃんと見てくれる人でも、
図表を使って丁寧に説明しても、「これってどういう意味?」と聞かれて、
報告書の内容と同じことを説明することも多いです(朗読に近い説明ですので、読んでいないということでしょう)。
上の話は私の居る事業所の話ですが、
自分の売り出しのため、異なる事業所の技術者に報告書の送付と説明に行ったこともあります。
相手は同年代です。2、3人にアタックしました。
「結局これで何ができるの?」と会社のお偉いさんのようなお言葉。
「いやー、読む時間が無くて」とたった60ページの報告書読むのに1か月以上かかる。
一言でいえば内容についてこられなかった、もしくは読むのが面倒だったのでしょう。
ここまで書くと私の書いている報告書がわかりにくいのでは、と思う方もいるかもしれません。
全く別の事業所の同年代の人(この人は今いる会社で唯一認めている技術者、研究者)は、わたしに5点以上の質問をしてきました。
どれも鋭い内容で、この内容の議論で1時間以上費やしました。
また、「こういうのはどうでしょうか」という提案までもらいました。
この返答をもらうまでに要した時間は1週間程度でしたか....。先ほど、悪い例で登場いただいた方々よりも忙しい方です。
読んでわかる人。これができる人が意外にも少ないのです。
読んでわかる、これは技術者の基本だと思うのですが....。
プレゼン中心でやってきた人は書くのが苦手なのはもちろん、読むのも苦手。
読めるようになるには自分で書けなくてはいけませんので、時間のかかる書くということから逃げていれば、その力は成長しないまま「じじぃ」になっていくわけです。
この「読めない、書けないじじぃ」が30代から急増しているというのが私の今いる会社への印象です。
「じじぃ」というのは年齢という意味ではありません。
成長しようという「向上心」が無くなった人のことを言っていますので悪しからず。
私もいつ「じじぃ」になってしまうかわかりませんが、
エネルギーがあるうちは全力疾走したいと思っています!
書ける、読める技術者。これはあるべき姿へ到達するための「必要条件」と思います。